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コンピテンシーとメタ認知能力

ブログ  2019年05月12日

コンピテンシー(competency)とは高い業績や成果を出している人の行動特性の事で、もう25年ほど前でしょうか、企業の人事部門などを中心に話題になっておりました。それ以前の日本型の人材評価の多くは、「協調性」・「積極性」・「規律正しさ」・「責任感」と言った、従業員の潜在的・顕在的能力を中心として構成される評価でしたが、能力が高いことが成果とつながるわけではなく、評価と会社への貢献が連動しないことがしばしばでございました。このため、企業によっては人事考課の仕方を見直す動きの中で、アメリカ式のコンピテンシーを取り入れたところもありました。

コンピテンシーは日本の従来型の能力評価ではなく、「親密性」「傾聴力」「ムードメイキング力」「計数処理能力」「論理思考力」など、具体的な行動形態で評価するものですので、評価と会社への貢献が連動しやすくなる点がメリットです。 しかしその一方、高い業績をあげている人がいてもその人の行動特性が評価モデルとの乖離が大きければ、低い評価をされてしまうという、評価の落とし穴も持ち合わせたものでした。

このような背景もあり、日本の企業の実際の人事考課の場面では、能力評価と業績評価の大きく2本立ての評価を採用して、能力評価の中に従来型の潜在的・顕在的能力評価に加えて、コンピテンシーをある程度評価できる項目を追加して評価するという企業が増えた経緯があります。

私が長く在籍した企業でも同様の評価をしております。長年の人事の経験から評価を考えてきた結果、コンピテンシーモデルのような側面が出て来るのは、まじめに取り組んでいる人事部門を持つ企業なら十分あり得る事です。

もちろんコンピテンシーモデルが使えるのは昇進や報酬に関わる考課の分野だけではなく、採用・育成などの人事分野でも使うことができます。

さて、コンピテンシーが日本ではさほど浸透しなかった理由を考えてみますと、もちろん先行しているアメリカで異論が噴出し欠陥も指摘されたという経緯もあります。また、日本的特質のひとつである形式主義に陥るとコンピテンシー型人事は意味をなさなくなると言う事、更には、ある行動特性を絶対的なものと企業側が信じて、多様性どころか金太郎飴のようにどの社員を見ても同じ行動を強いられている、などという事態も容易に想像できる点などがあります。従って、組織論からみたコンピテンシーモデルというものが問題点をたくさん有するが故に、学問的にも重要視されなかったから、ということが主なところでしょうか。

しかしながら、コンピテンシーモデルとなるような行動特性をとる人が共通してどのような性質を備えているかは、これからもある程度注目して良い気がいたします。

そのうちのひとつが、『メタ認知能力』であると私は考えております。

メタ認知能力とは、ひとことで言えば、『自分を俯瞰して見ることができる能力の事』です。

自分を少し高い次元から俯瞰して客観的に見ることで、今の自分自身を正確に把握することが出来るため、これからどうすれば良いかの行動にも繋がって行きます。

例えば、

①今の自分は何を知っていて、何を知らないのか?

②今の自分の行動は何のために行っていて、どういう結果を予測できるのか?

③今の自分は感情的になり過ぎていないか?もっと冷静に考えて行動するべきだ。

④今の自分は焦っていて落ち着いていない。もっと集中力を保つべきだ。

⑤相手が困ってはいないか?自分はどうしてあげる事が出来るのか?

といった考え方や行動がとれるので、自分の周りに起こっている様々な問題に対して適切な対応が出来て、問題解決能力も高いと言う事になります。

この能力や性質が、優れた成果をあげる行動特性に繋がっていると考えております。

メタ認知能力を高めていく事は、なかなかすぐには難しいかも知れません。

私自身出来ていませんので、行動習慣として、“本当にこれで良いのか?”と、自分の行っている毎日の行動について、自分自身に問いかける事を、心掛けていきたいと考えております。