ブログ 2019年01月7日
組織の中で、経営者や管理職から「コミュニケーションを高めたい」と、しばしば耳にします。私は、どのような状況なのかを把握する為に、その現場に出向くと、本当にコミュニケーションの問題だけが課題の事が多くあります。
彼らなりに、コミュニケーションを良くする為の努力はしています。 話術で人を引き寄せようとしたり、精神論を話したりしている事が多くみられます。
しかし、肝心の聞き手の反応が悪く、いわゆる「反発」を生んでいる事が多々あります。
上位者人は、話をする時に、聞き手である部下が受け入れられる範囲を常に掌握しながら、新たな命令や指示を出さないと、下の人たちは混乱するばかりです。
このような混乱を引き起こす上位者は、自分が伝えたい事を話す事に精一杯で、聞き手の気持ちを把握していない事が分かります。経営者や管理職は、一歩引いたり一段上がったりと、少し俯瞰した目線を持てば、自ずと視野が広がり物事の捉え方も変わっていきます。
しかしながら、その視野のままで部下に語る事も、反発を生む一つの要因だと考えております。
コミュニケーションとは、話の上手さや話術の巧みさ話す内容ではなく、相手の受け入れられる範囲を常に把握しながら、心で語る態度のことを言います。
話は、聞き手がその結果の全てを担っていることを忘れてはならないのです。
もし上記のような場面に思い当たるふしがおありになる場合には、改善の心掛けが必要となります。
まず第一に、自分と相手の、お互いに心の壁ができていないか、よく認識する必要があります。
通常、部下は、ただの出会い頭の会話では、上司に対してなかなか心を開示しないと思って良いと思います。その代わり別の場所や手段でシグナルを送っています。
例えば、部下の日報の中の一文だったり、普段の会話のほんの一言や何気ない表情で、彼らはシグナルを送っています。
彼らは、使われる立場、弱い立場なので、概ね繊細でナイーブなことが多く、上司たるものそのシグナルを見逃してはいけないのです。見逃したシグナルの遺物・蓄積が心の壁となっていきます。
組織の上下や同僚の間で心の壁ができれば、そのグループはうまく機能しないし、お互いに心の壁ができると、すべてはうまくいかなくなっていくものです。
心の壁とは不思議なもので、他人が作った壁は苦労して乗り越えるしかないのですが、自分で作った壁なら自分で取り払うことができます。自ら壁を取り払うための心がけは、人と接する時、常に心で語ること以外に他ありません。上司は自ら胸襟を開いて、素直なありのままの自分を見せる事が必要です。
彼らが発するシグナルを、上司が心で受け止めてくれた事がわかり、それを素直に伝えてくれる行動によって、組織のマジョリティ集団である彼らは、皆少しずつ心を開示してくれるようになります。
上司の肩に力が入り、いつも身構えていたら、問題に対して適切で柔軟な対応は望めません。実力のない者ほど衝動的に反応し、問題をますます混乱させてしまうことがあります。
目的や指示を言葉に出して部下に直接伝えたいならば、部下と丁寧に会話を重ね、相手が受け入れられる範囲を常に把握しながら、心で語ることが必要です。