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マネジメントレビューとは?ー実施のメリット、注意点

知識の泉  2019年05月29日

製造業に限らず、「商い」を行っている企業にとって、自社商品の品質は、その企業の定量的な売上だけではなく、定性的な評判にも関わってきます。では、どう品質を上げるのか…その答えが製品品質チェックです。ただ、従業員個人に依存し任せきるのではなく、チェックを行う組織体制を整え、精度を上げるマネジメントレビューと言われる経営管理活動が必須になります。今回は、この「マネジメントレビュー」についてご紹介していきます。

マネジメントレビューとは

マネジメントレビューとは、「経営層による見直し」とも訳されるもので、内部監査や、外部監査の結果などを基に、一定期間の経営管理の実績を振り返り、問題点や、懸念、成果などを見直すことです。ISO、ISMSなどの国際規格があり、組織の活動や能力の分析、コンプライアンスの遵守などが定期的なマネジメントレビューを行うことによって得られるメリットになります。そのほかにも、製品の品質管理や情報セキュリティーの見直しなど、その対象は多岐にわたります。

マネジメントレビューの主導は、経営者を含む経営者層です。システムの継続、内部監査もしくは外部監査の結果、顧客からのフィードバックをもとに実施してきたプロセスの実施状況、製品の整合性を測り、その活動の成果を鑑み、是正処置を行います。その後、活動プロセスなどの改善のための決定や処置をし、実施という流れになります。

少なくとも年に1回は実施する必要がありますが、本来であれば日常的な事業活動の中で、経営層が報告を受け、経営上の判断をすることが、マネジメントレビューと言えます。

マネジメントレビューの国際規格

マネジメントレビューには、国際規格があります。適切な見直しができるように、規格として標準化されているのです。ここでは3つのマネジメントシステムの国際規格をご紹介します。

  • 品質マネジメントシステムの国際規格「ISO 9001」
  • 環境マネジメントシステムの国際規格「ISO14001」
  • 情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 27001」

どの国際規格も、認証取得までには約1年かかります。品質管理におけるマネジメントレビューの規格は多岐にわたり、数多く存在します。業種や業態に関係なく認証取得できるものも多く、もっとも自分の会社に合った国際規格を選ぶことが重要となってきます。特に海外との取引が今後増える予定があるならば、マネジメントレビューの国際規格を認証取得することは、取引を円滑に、そして迅速に進めるためにも必要となってくるでしょう。

品質マネジメントシステムの国際規格「ISO 9001」

品質マネジメントシステムの国際規格は、「ISO 9001」です。これを認証取得した事業者がいわゆるISO 9001認定事業所であり、導入することによって、コストの削減や返品率の低下などが期待できます。もっともどう運用するかにかかっており、導入したからと言って効果や成果を約束するものではありません。この品質マネジメントの国際規格は、世界170ヵ国以上で採用され、100万以上の会社が使用しています。それだけ信用があり、また、広く世界に受け入れられている国際規格です。この品質マネジメントシステムの国際規格は、特にものづくりをしており、今後海外に輸出などの機会が増えるであろう会社は、認証取得をすると、国際的取引もスムーズかつ迅速にできることでしょう。

環境マネジメントシステムの国際規格「ISO14001」

環境マネジメントシステムの国際規格が「ISO 14001」です。経済活動を行う上で、自然環境保護とのバランスを考えるうえで必要な国際規格と言えるでしょう。環境への影響を持続的に改善するためのシステムの構築、組織の環境改善及び環境経営の期待がされています。環境パフォーマンスの向上や、順守義務の充足といった狙いもあります。もっとも強制ではなく、自主的に、できる範囲で評価を行うこととなっています。大企業はもとより、取引に必要であるとして中小企業が取得を求められることがあり、そのほか、地方自治体なども取得することのある国際規格となります。

情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 27001」

情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格が「ISO/IEC 27001」です。近年問題になっている、企業からの個人情報の流出などを受け、特にインターネット関連の企業信頼低下を防ぐためにもニーズの増えてきている国際規格となります。企業が取り扱う情報の完全性、機密性、可用性をマネジメントし、情報システムの脅威から企業を守ります。ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の確立、実施、維持、継続的な情報セキュリティのリスクアセスメント及びリスク対応が目的のISMS専用の国際規格です。情報資産を守り、有効活用をし、最適な情報セキュリティ体制の実現します。

マネジメントレビューで得られるメリット

  • 商品やサービスに対する品質マネジメントを改善する
  • 経営状況の現状を分析し改善する
  • 企業コンプライアンスを強固にする

マネジメントレビューを定期的に行うことによって得られるメリットは多くありますが、中でも商品やサービスに対する質の向上、経営状況の現状把握と分析、そして改善による効果、さらに企業コンプライアンスを強固にすることが主なメリットとなっています。また、それぞれの企業、組織に合ったマネジメントシステムの国際規格を認証取得し、定期的に実施することで、他企業や顧客からの信頼を得やすくなります。

商品やサービスに対する品質マネジメントを改善する

商品やサービスに対する品質マネジメントを改善するには、まず、品質管理や品質保証といったものを理解する必要があります。それも経営層だけでなく、企業全体としての理解が必要です。企業全体で品質が第一である、という意識を持ち、どういった商品やサービスが顧客の意にかなうのかといったことを考えることが大切なのです。さらに商品やサービスが悪いということはプロセスの見直しも必要になります。品質マネジメントシステムの導入により、品質管理の現状把握、顧客満足度をきちんと理解し、プロセスを管理し、改善点を把握し、経営層が企業全体へ改善をするための指標を指示します。そしてそれを全体で実施することにより、品質マネジメントの改善ができるのです。

経営状況の現状を分析し改善する

経営状況を改善するには、現状の把握が最も大事です。現状どういった点が必要で、どういった点が不必要であるのか、収益構造、利潤構造のもととなっている事業面を関連付けての分析、事業環境や具体的な業務プロセスの把握、分析まで必要となってきます。さらに担当者まできっちり把握して、現状を分析することが重要です。担当者レベルまで分解、分析しなくては、何の意味もなさないのです。そして現状の分析をもとにした改善策を練り、具体的な戦略や実行可能な改善策を策定し、実行に移します。そして、改善策の実行具合をレポートなどで報告にあげるのです。それにより、さらなる改善点などを見つけることができるようになります。

企業コンプライアンスを強固にする

コンプライアンスとは、コーポレートガバナンス(企業統治)の基本原理の一つで、いわゆる法令遵守です。この企業コンプライアンスを強固にするということは、法律を守るだけでなく、社内規定やマニュアル、社会貢献などの基本的なルールを遵守している、ということに他なりません。この企業コンプライアンスを強固にすることにより、近年問題になっている、食品偽装や粉飾決算といった、いわゆる顧客や世間を裏切り、だますようなことはしないという、企業として最低限必要なルールを遵守しているということであり、社会的な信用を得ることができます。顧客にはもちろん世間的にクリーンで安心感があるということであり、経営基盤の安定へとつながるのです。

マネジメントレビューをする際の注意点

マネジメントレビューをするにあたって、注意しなくてはならないことがあります。この注意点をきちんと把握し、気をつけなくては、マネジメントレビューを実行したとしても何の効果も得られないことがあります。

  • 目的を明確にする
  • チェックシートを活用する

まずは目的を明確にすることです。漠然としたまま始めてしまっては、そもそもの着地点が分からず、改善点をあぶりだすこともできません。また、目的をきちんと定めていなければ、継続することも難しくなるでしょう。そしてチェックシートを活用することもまた大事なことです。チェックシートを活用することにより、経営層が品質マネジメントシステムを直視することができ、インプットとアウトプットされた内容をきちんと把握し、明確化することができます。

マネジメントレビューに必要な「インプットとアウトプット」

マネジメントレビューへのインプット

マネジメントレビューへのインプットとはいったいどのような事なのでしょうか。インプットに必要な事項は以下の通りとなります。これらを経営層が収集し、分析することになります。

  • 監査(内部&外部)の結果
  • 顧客によるフィードバック
  • 企業や経営活動の現状・製品の整合性
  • 予防と是正処置についての報告
  • 改善のための提案
  • 前回のマネジメントレビューに対する指示
  • 組織変更と関連法令による影響

マネジメントレビューによる改善点や対応が必要な事項が何かを知るためにはまず、マネジメントレビューのインプットが必要です。チェックシートなどを活用し、定められた項目を把握し、きちんとインプットを行うようにしましょう。そのために標準化された国際規格があるのです。マネジメントレビューにおいて、経営層がきちんと効果を得るためにはこのインプットという工程がとても重要になってくるのです。

マネジメントレビューからのアウトプット

インプットされた内容はアウトプットする必要があります。アウトプットとはマネジメントレビューに対しての結果、結論のことです。マネジメントレビューのアウトプットとしては1.品質マネジメントシステム及びそのプロセスの有効性の改善の決定、2.顧客要求事項への適合に必要な製品への改善の決定、3.資源の必要性の決定の3つが必要となってきます。たとえば、プロセスのアウトプットであるなら、製品が出来上がる工程を観察し、きちんと手順が守られているかどうかを見ます。もしも手順が守られていなければ、その結果として製品に問題が発生していないかどうかを検証することが大事になってきます。つまりこれがプロセスのアウトプットということです。

ビジョンマネジメントのまとめ

  • 目的を明確化する
  • 国際規格を活用する
  • インプットとアウトプットを理解し、実行する

マネジメントレビューは日常的に行われてこそ効果的なものであり、その目的を明確化し、企業全体で理解、把握し、経営層が積極的にかかわることが必要となってきます。ただ漫然と年に1回とにかくやっておけばいい、ということでは何の効果も得ることができません。標準化された国際規格があるので、それをきちんと理解し、認証取得することで、企業としての信用が得られます。そして、インプットとアウトプットをきちんとできれば、マネジメントレビューは成功し、しっかりとした改善を実行できるようになり、企業にとってのメリットが得られることでしょう。